◤ オフショット公開 ◢ | エンジニア 三枝君

今回は制作「トリアイナ・ワークス」屈指のエース、 エンジニア 三枝君の特集です!
三枝君にはロケ当日の監督助手だけでなく、作品全体を通したエンジニアリング技術の監修を「技術協力」として担当してくれました。
それは単なる実装担当ではなく、作品世界が技術的に破綻せず成立するための構造そのものを支えた存在です。
彼の代表的な成果が、本作の中核装置である「KAMI SYSTEM(K-SYS)」です。
本システムは、菅野監督と三枝君が設計・制作したもので、物語と現実の撮影現場を直接接続する役割を担っています。
物語上、K-SYS は世界の構造そのものに干渉するためのインターフェースとして描かれます。
そのため、単なる小道具や後処理の映像合成では不十分で、「操作されることで世界が書き換わる装置」として実在感を持って成立させる必要がありました。
そこで本作では、K-SYS を PCのWebブラウザ上で実際に操作可能なシステム設計を選択します。
HTML / CSS / JavaScript を用い、UI、ログ表示、時間制御、状態遷移といった要素をリアルタイムに制御。
画面上の挙動はあらかじめ用意された映像を再生するのではなく、操作入力に応じて逐次生成・更新される構造になっています。
※一部の演出では、意図的に映像再生を併用しています。
特に重視されたのが、「操作」と「時間」の同期です。
K-SYS 内部では、時刻を現実の時計とは切り離した抽象的な数値として扱い、それを一定の規則で変化させることで、時間を巻き戻す、停止する、段階的に進めるといった操作を可能にしています。
この設計により、映像のフレームレートと時計表示を同期させることができ、演技や編集テンポと齟齬のない時間演出が実現されました。
結果として、俳優の演技テンポや「間」に合わせて、演出側がシステムを操作することが可能になります。
ロケ当日、主演の押本さんの演技に合わせて実際にモニター上でK-SYSが動作したことで、
そこには「役者が演技をしている映像」ではなく、「役者が“装置を操作している現場”」が確かに立ち上がりました。
結果として作品世界の説得力を大きく引き上げている。その結果、作品世界そのものの説得力を大きく引き上げています。
K-SYS における JavaScript は、装飾のための技術ではなく、物語・演技・時間を一つのルールで束ねるための制御言語として機能しています。
三枝君の凄さは、技術を前に出すことではなく、技術によって作品のリアリティを「裏側から成立させている」点にあります。
三枝君は、“世界が壊れないように設計する”エンジニアです。
そうして同時に「壊すための構造」を、最後まで考え抜く力を持つエンジニアです。
UIデザインは監督自身が担当。
意図的に古臭さを残したレトロフューチャー調のグラフィックと、緑色を基調とする配色によって、K-SYSが放つ「得体の知れなさ」「不気味さ」や「触れてはいけない危険性」を視覚的に強調。
これがどこか胡散臭く、不安を喚起する存在として立ち上がることを狙っています。
使用フォントは「IBM DOS ISO9」。IBM PC互換機のDOS時代に用いられていたビットマップ系等幅フォントの視覚様式をもとに、現代環境向けに再構成された書体です。
※実際のDOS環境では ISO 系文字集合は使用されておらず、「IBM DOS ISO9」という名称は、DOS風デザインと ISO 系文字集合を組み合わせた後付けの呼称である場合が多い点も補足しておきます。

